数次相続について

2025.07.15
コラム

数次相続(すうじそうぞく)とは、

被相続人が亡くなった後、遺産分割協議が完了しないうちに、その相続人のうちの一人も亡くなってしまい、次の相続が開始される状況を指します。

通常、相続は1回のみですが、数次相続では短期間に複数の相続が連続して発生するため、相続関係が複雑化し、手続きや税金面で注意が必要になります。

数次相続の具体例

  • 父親が亡くなり、その遺産分割協議中に母親も亡くなるケース
    • 父親の相続(一次相続)がまだ終わっていない段階で、母親(父親の相続人)が亡くなり、母親の相続(二次相続)が発生します。
    • この場合、父親の遺産は、まず母親と他の相続人(例えば子供たち)に一旦帰属し、その後、母親が亡くなったことで、母親の持ち分がさらに母親の相続人(子供たちなど)に承継されることになります。
  • 祖父母の相続手続きが終わらないうちに、親も亡くなってしまうケース
    • 祖父母の相続(一次相続)が未了のまま、その相続人である親が亡くなり、親の相続(二次相続)が発生します。

数次相続と混同しやすい相続との違い

  • 代襲相続:被相続人が亡くなる「前」に、相続人となるはずだった人がすでに亡くなっている場合に、その子(孫など)が代わりに相続すること。
  • 再転相続:一次相続の熟慮期間(相続放棄や限定承認の期間:原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内)が経過する前に相続人が亡くなり、その相続人が一次相続に対する相続放棄や限定承認の判断をする前に亡くなった場合に、その相続人が一次相続の熟慮期間を引き継いで判断すること。
  • 相次相続:最初の相続から10年以内に次の相続が発生し、最初の相続で相続税を支払った場合に、一定の要件を満たせば、次の相続で相続税が軽減される制度(相次相続控除)。
    数次相続とは異なり、最初の相続の遺産分割協議や相続税の申告が完了している点が異なります。

数次相続における手続きのポイント

数次相続が発生した場合、一次相続と二次相続(あるいはそれ以降の相続)の手続きを同時に、または順を追って行う必要があります。

  1. 相続人の確定
    • 一次相続、二次相続それぞれの相続人を正確に特定する必要があります。
      戸籍謄本などを遡って調査し、すべての相続人を漏れなく把握することが重要です。
    • 相続が重なるほど、関係者が増え、複雑になる可能性があります。
  2. 相続財産の調査
    • 一次相続、二次相続それぞれの被相続人の財産を調査します。
      特に、一次相続の被相続人の財産は、まず一次相続人に帰属し、その後に二次相続の対象となるため、分けて把握する必要があります。
  3. 遺産分割協議
    • 原則として、一次相続と二次相続、それぞれについて遺産分割協議を行う必要があります。
    • 一次相続の遺産分割協議には、一次相続の被相続人の相続人全員(二次相続の被相続人も含む)、そして二次相続の被相続人が亡くなっている場合は、その相続人も参加する必要があります。
    • 遺産分割協議書を作成する際は、一次相続と二次相続をまとめて記載することも可能ですが、混乱を避けるため、別々に作成することも検討されます。
      記載方法も「相続人兼被相続人」などの肩書を用いるなど、通常の遺産分割協議書とは異なる点があります。
  4. 相続登記
    • 不動産がある場合、原則として、一次相続の相続登記を行った後に、二次相続の相続登記を行います。
    • ただし、中間省略登記が認められるケースもあります。
      これは、中間の相続人が1人しかいない場合に、一度の申請でまとめて登記を行うことができる制度で、登記費用を節約できるメリットがあります。
  5. 相続放棄の検討
    • もし、一次相続または二次相続において、負債が多いなど相続したくない事情がある場合は、相続放棄を検討することも可能です。相続放棄の熟慮期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内です。

数次相続で困った場合の対応

数次相続は、相続関係や手続きが複雑になりがちです。

  • 専門家への相談:相続人の特定、遺産分割協議、相続税の申告、不動産登記など、専門的な知識や手続きが求められるため、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
    特に、争いが生じやすい遺産分割協議においては、弁護士に依頼することで円滑な解決が期待できます。
  • 早期の対応:時間が経過するほど、戸籍などの資料収集が困難になったり、関係者が増えて調整が難しくなったりする可能性があります。早めに手続きに着手することが重要です。

数次相続は、通常の相続よりも複雑なケースが多く、トラブルに発展する可能性も高いため、慎重な対応が求められます。

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