大阪府摂津市:所有物件の火災保険と、賃貸入居者の家財保険は別物

2025.08.03
コラム

火災保険は持ち家と賃貸でどう違う?
所有者と入居者のリスクの”質”の違い

※画像はイメージ写真です

「マイホームを購入した」「賃貸マンションに引っ越すことになった」——。
新しい生活のスタートには、様々な手続きが伴いますが、その中でも「火災保険」への加入は特に重要です。
しかし、この火災保険、実は物件の「所有者(持ち家)」と「入居者(賃貸)」とでは、守るべき対象や備えるべきリスクの【質】が大きく異なります。

「火災保険に入っていれば、火事になっても安心」と漠然と考えていると、
いざという時に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。

この記事では、不動産のリスク管理の観点から、火災保険・家財保険の基本的な役割を整理しつつ、
「所有者」と「入居者」それぞれが直面するリスクの性質の違い、特に賃貸物件における「借家人賠償責任」の重要性について、掘り下げていきます。

1. 「火災保険」「家財保険」「借家人賠償責任保険」基本の関係性を整理

まず、言葉の定義を整理しましょう。これらは密接に関連していますが、それぞれ守る対象が異なります。

  • 火災保険: 火災や落雷、風災、水災などの自然災害によって「建物」と「家財」に生じた損害を補償する保険の総称です。
  • 家財保険: 火災保険の一部で、補償対象を「家財(家具、家電、衣類など)」に特化したものです。
    賃貸入居者が加入する火災保険は、実質的にこの家財保険を指すことが多いです。
  • 借家人賠償責任保険: 賃貸物件の入居者が、火災や水漏れなどの偶然な事故で借りている部屋に損害を与え、大家さん(所有者であるオーナー)に対して法律上の賠償責任を負った場合に、その賠償金を補償する保険です。多くの場合、単体では加入できず、家財保険の特約として付帯します。

ポイントは、火災保険・家財保険が「自分の資産」を守るための保険であるのに対し、借家人賠償責任保険は「他人(大家さんなど)への賠償」に備えるための保険であるという点です。
この違いが、所有者と入居者のリスクの性質の違いに直結します。

2. 物件所有者(持ち家)のリスク:「自己資産の保全」と”失火責任法”の落とし穴

マイホームを持つ所有者にとって、最大のリスクは「大切な資産である建物・家財が損害を受けること」です。
火災はもちろん、近年多発する台風や豪雨による水害など、様々な災害から自分の資産をいかに守るか、という「自己資産の保全」が火災保険に加入する最大の目的となります。

ここで、所有者が絶対に知っておくべき法律が「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」です。

【失火責任法とは?】
もし自分の家から火事を起こしてしまい(失火)、隣の家に燃え移ってしまっても、失火者に「重大な過失」がなければ、隣家への損害を賠償する責任はない、という法律です。
これは、木造家屋が密集する日本の住宅事情を考慮し、失火者に過大な賠償責任が課されるのを防ぐための特別な法律です。

「それなら、隣に燃え移っても賠償しなくていいから安心だ」
と考えるのは早計です。この法律は、リスクの裏返しでもあるのです。

つまり、もし隣家からのもらい火で自宅が全焼してしまっても、火元であるお隣さんに重大な過失がなければ
損害賠償を請求できない、ということです。
自分の家を再建する費用は、全額自己負担になってしまいます。

だからこそ、所有者にとって火災保険は、「他人のせいでもらい火の被害にあっても、自分の力で生活を再建するための、唯一にして最大の自己防衛策」と言えるのです。

また、住宅ローンを組む際には、金融機関から火災保険への加入が必須条件とされることがほとんどです。
これは、融資の担保である建物の価値が火災等で失われると、金融機関が貸したお金を回収できなくなるリスクを防ぐためです。

【所有者のリスクと保険の役割まとめ】

  • リスクの中心: 自己資産(建物・家財)の滅失・毀損
  • 保険の目的: 自己資産の保全(特に、失火責任法があるため”もらい火”への備えが重要)
  • 加入の背景: 資産防衛の必要性、住宅ローン契約の条件

3. 賃貸入居者のリスク:「家財の保全」+「大家さんへの法的賠償責任」

一方、賃貸物件の入居者が直面するリスクは、所有者とは少し様相が異なります。
建物の所有者は大家さんなので、建物自体が損害を受けても、その修繕義務は大家さんにあります。
しかし、入居者には大きく分けて2つのリスクが存在します。

(1) 自身が所有する「家財」への損害リスク

これは所有者と同じです。
火災や水漏れ、盗難などで大切な家具や家電が使えなくなってしまった場合、それらを買い直す費用は大きな負担になります。
この「自己資産(家財)の保全」のために、家財保険への加入が必要です。

(2) 大家さんに対する「損害賠償責任」のリスク

こちらが、賃貸入居者特有の、そして最も重要なリスクです。
入居者には、借りている部屋を善良な管理者として注意をもって使用する義務(善管注意義務)と、退去時に元の状態に戻して返す義務(原状回復義務)があります。

もし、入居者の不注意(過失)で火事を起こして部屋を燃やしてしまった場合、どうなるでしょうか。
前述の「失火責任法」により、隣の部屋への賠償責任は(重過失がなければ)免れるかもしれません。
しかし、大家さんとの間には「賃貸借契約」という契約関係が存在するため、この法律は適用されません。
入居者は、大家さんに対して契約違反(債務不履行)となり、部屋を元に戻すための修繕費用を全額賠償する義務を負います。
これが「借家人賠償責任」です。

【借家人賠償責任保険が適用される具体例】

  • 火災: 天ぷら油の入った鍋を火にかけたまま放置して火事になった。
  • 水漏れ: 洗濯機の排水ホースが外れているのに気づかず、床や壁を水浸しにしてしまった。
  • 破裂・爆発: ガスコンロの清掃中に誤って配管を傷つけ、ガス漏れから爆発が起きた。

これらのケースでは、損害額が数百万円から、場合によっては1,000万円以上にのぼることもあります。
個人で到底支払える金額ではありません。
この万が一の賠償リスクに備えるのが「借家人賠償責任保険」なのです。

賃貸契約時に不動産会社から火災保険への加入を「必須です」と言われるのは、この借家人賠償責任保険に加入してもらうことで、大家さんが確実に損害の補填を受けられるようにするためです。
入居者のためであると同時に、大家さんのリスクヘッジでもあるのです。

【入居者のリスクと保険の役割まとめ】

  • リスクの中心: 自己資産(家財)の損害に加え、大家への法的賠償責任
  • 保険の目的: 家財の保全(家財保険)+大家への賠償責任への備え(借家人賠償責任保険)
  • 加入の背景: 賃貸契約の条件、高額な賠償リスクへの備え

4. リスクの性質を比較する

ここまで見てきたように、所有者と入居者では、火災保険に求める役割が根本的に異なります。

物件所有者(持ち家)賃貸物件の入居者
リスクの中心自己資産の保全
(建物・家財の価値を守る)
自己資産の保全(家財)
法的賠償責任(大家への賠償)
主な備え火災保険(建物+家財)家財保険+借家人賠償責任保険
リスクの性質もらい火など、外的要因による
資産損失への備え
自身の過失による、大家への契約上の責任への備え
キーワード失火責任法、自己防衛善管注意義務、原状回復義務、
契約責任

「所有者」「入居者」それぞれのリスクに応じた適切な保険に加入することが、安心して暮らすための第一歩です。
保険加入の際には、補償内容をよく確認し、自分のライフスタイルに合ったプランを選びましょう。


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