大阪市港区 空き家活用のご相談
大阪市港区における相続した実家(長屋・築古住宅)の活用
1. はじめに:大阪ベイエリアの市況と相続の現状

大阪市港区は、大阪湾岸エリアの要として、歴史ある産業と住宅地が混在する独特の地域です。
弁天町駅周辺やベイエリア全体で再開発の機運が高まっていますが、磯路、市岡、八幡屋といった昔ながらの住宅街には、戦前・戦後に建てられた木造の長屋や狭小住宅が数多く残っています。
本記事では、大阪市港区でご実家を相続された方からの相談依頼の内容をもとに、不動産を「賃貸物件」として活用した場合の収支やリスク、そして最終的な「資産の着地点」について解説します。
1.1 二極化する市場環境
港区の土地価格は、はっきりとした二極化が進んでいます。
主要な道路沿いや駅に近い商業地は価格が上昇傾向にありますが、住宅地、特に「再建築ができない土地」や「長屋(連棟住宅)」に関しては、必ずしもその上昇の恩恵を受けているとは限りません。
実際、港区の住宅地では、道路付け(接道条件)が悪い古い物件の場合、相場よりも低い価格での取引となるケースが見受けられます。
1.2 長屋の実家相続の課題
長屋の実家相続などで悩まれる事例の多くは、権利関係と建物の構造的な問題が複雑に絡み合っています。
港区に残る長屋の多くは、隣の家と壁や柱を共有しているため、自分の一存だけで建て替えることが困難です。
また、相続人が遠方に住んでいる場合、空き家の管理が負担となり、いわゆる「負動産」になってしまうリスクが高まります。
しかし、焦って売却しようとすると、本来の価値よりも大幅に安く手放すことになりかねません。
大切な資産を守るためには、慎重な判断と客観的に見る視点が必要です。
2. 初期費用と維持費:相続手続きと税金の現実
不動産の活用を考える前に、まずは相続に伴う手続きと費用、そして持ち続けることのリスクを把握する必要があります。

2.1 相続登記と初期費用
不動産を相続するには、名義を変更する「相続登記」が必要です。
2024年4月からこの手続きは義務化されました。
大阪での一般的な費用目安は以下の通りです。
| 費目 | 内容 | 概算費用 | 備考 |
| 登録免許税 | 国に納める税金 | 40,000円 | 評価額1,000万円の場合 |
| 司法書士報酬 | 手続きの代行費用 | 100,000円 | 事務所により価格変動あり |
| 書類取得費 | 戸籍謄本など | 20,000円 | 相続人の数により変動 |
| 合計 | 初期費用目安 | 約160,000円 |
2.2 固定資産税と「空き家」のリスク
相続した実家を放置することの最大のリスクは、固定資産税の軽減措置が受けられなくなることです。
通常、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、税金が安くなっています。
しかし、適切な管理がされず行政から「特定空家」に指定されると、この特例が解除されてしまいます。
一般的に税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があると言われますが、実際には負担調整措置などにより約4.2倍程度の負担額増加になるケースが一般的です。
【試算例】
固定資産税評価額は、公示地価の約7割を目安に算定されるため、評価額1,000万円の土地であれば、特例適用時の税額は約2.3万円(1,000万×1/6×1.4%)ですが、解除されれば約9.8万円(1,000万×0.7×1.4%)となります。 この年間約7.5万円の差額(コスト増)は、10年間で75万円の損失となり、売却や賃貸運用による対策などを急ぐべき動機となります。
3. 投資計画:リフォーム費用の考え方
古い家、特に長屋を賃貸に出すためには、適切なリフォームが欠かせません。
しかし、お金をかけすぎると回収に時間がかかってしまうため、バランスが重要です。
3.1 ターゲットと家賃設定
大阪市港区の賃貸市場において、古いテラスハウス(長屋)を借りる層は、
「広さを求めるファミリー」や「家賃の安さを重視する方」が中心です。
データによると、リフォーム済みの古い長屋の家賃相場は5万円〜6.5万円程度です。(リフォーム内容により変動)
例えば、月額6万円(年間72万円)の家賃収入を目指す場合、費用対効果を考えるとリフォーム費用を250万円〜300万円以内に抑えるのが一つの目安となります。
3.2 改修プラン別費用シミュレーション
物件の状態に合わせた3つのプラン例です。(室内改装工事)
| プラン | 工事内容のイメージ | 概算費用 | 想定家賃アップ |
| プラン① | フルリフォーム お風呂やキッチンなど水回り設備を全て新品にして、間取りも現代風に変更。 | 450万〜600万円 | +1.5〜2.0万円 |
| プラン② | 標準的な再生工事 和式トイレを洋式に、洗面台を交換。壁紙や床を張り替え、清潔感を出す。 | 150万〜250万円 | +0.5〜1.0万円 |
| プラン③ | 最低限の修繕 ハウスクリーニングと、壊れている箇所の補修のみ。 | 50万〜80万円 | ±0円 |
構造を変えるような大掛かりな工事は費用が高くなるため、賃料相場が5万円〜6.5万円程度の場合は、間取りは大きく変えずに清潔感を出す「プラン②」を基本に検討するのが最も現実的でしょう。
ただし、外壁や屋根、防水工事などの外装工事費用が発生する場合もあるため、現場のチェックは詳しく行う必要があります。
4. 運用シミュレーション:10年間の収支
ここでは、補助金を使わずに「プラン②(標準)」でのリフォームを行い、10年間賃貸運用した後に売却するケースを想定して計算してみます。
【前提条件】
- 物件:大阪市港区 築50年 長屋
- リフォーム費用:250万円(全額自己負担)
- 家賃:6.2万円/月
- 空室リスク:2年に1回退去があると想定(退去から入居までの期間3ヶ月で計算)
4.1 10年間の収支推移(単位:万円)
| 年度 | 1年目 | 2年目〜5年目 | 6年目〜10年目 | 10年合計 |
| 家賃収入 | 74.4 | 74.4/年 | 74.4/年 | 744.0 |
| 空室・経費・修繕 | -34.9 | -34.9/年 | -34.9/年 | -349.0 |
| 手残り(運営益) | 39.5 | 39.5/年 | 39.5/年 | 395.0 |
| 初期投資(リフォーム) | -250.0 | 0 | 0 | -250.0 |
| 累計収支 | -210.5 | 6〜7年かけ回収 | 利益拡大 | +145.0 |
【年間支出(-34.9万円)の内訳】
- 原状回復費用(クリーニング・補修): -5.0万円
- ※2年に1回の退去を想定し、その都度発生するクロス張替えやハウスクリーニング費用等(約10万円)を年割りで計上。
- 空室リスク(機会損失): -6.2万円
- ※退去の都度、2ヶ月程度の空室期間が発生すると仮定し、年平均で家賃1ヶ月分を計上。
- 入居者募集費用(広告料等): -3.1万円
- ※入替時に仲介会社へ支払う広告料(家賃1ヶ月分相当)を年割りで計上。
- 賃貸管理手数料: -3.7万円
- ※家賃の5%(+消費税)を管理会社へ委託する場合の費用。
- 固定資産税・都市計画税: -4.0万円
- ※港区の一般的な古家付き土地(約15〜20坪)の概算税額。
- 火災・地震保険料: -3.0万円
- ※築古木造物件の一般的な保険料目安。
- 修繕積立金(建物予備費): -9.9万円
- ※雨漏りや設備故障など、突発的なトラブルに備えるための積立。

4.2 結果
- 元が取れるのは7年目から
リフォーム費用の250万円を家賃収入(手残り)で回収し終えるには、約6.3年かかります。
つまり、7年以上は貸し続けないと赤字になる計算です。 - 10年後の手残り
10年間運用すれば、リフォーム代を差し引いても約145万円の現金が手元に残ります。
この時点で物件を売却できれば、トータルの利益はさらに大きくなります。
5. リスクへの備え:事故物件と災害
家賃が入らないリスク以外にも、考えておくべきリスクがあります。
いわゆる「事故物件」になるリスクです。
高齢化が進むエリアでは、入居者の孤独死リスクは完全には避けられません。万が一、室内で亡くなられた場合、発見が遅れると特殊清掃が必要になったり、その後の家賃を下げざるを得ない「事故物件」となってしまうリスクがあります。
こうしたリスクへの備えとして最も有効なのが、入居時に「孤独死対応プランのある家賃保証会社」に加入してもらうことです。
現在の保証会社には、万が一の際の原状回復費用(特殊清掃費含む)がセットになったプランがあります。
これを入居条件とすることで、オーナー様の金銭的負担をカバーすることが可能です。
また、精神的な安心材料として、万が一賃貸運用が継続困難になった場合の「出口」を知っておくことも重要です。 不幸な事故が起きてしまった場合でも、「事故物件」を現状のまま買い取ってくれる専門業者は存在します。「最悪の場合は売却できる」という選択肢を事前に把握しておくことで、過度な不安を抱えずに運用をスタートできるはずです。
6. 最終的な資産の着地点

賃貸運用をずっと続ける方は多くなく、ほとんどの方が、いつかは「売却」や「引き継ぎ」をする時が来ます。
入居者が住んでいる状態で、そのまま売る(オーナーチェンジ)投資用物件として売却する方法が一つです。
港区の古い長屋の場合、表面利回り(物件価格に対する年間家賃収入の割合)は15%前後が相場です。
家賃が月6.2万円なら、500万円前後程度での売却が期待できます。
買取業者への売却
以下のような場合は、一般の方への売却(仲介)よりも、不動産会社による「買取」の方が適していることがあります。
- 室内で不幸な事故があった場合
- 相続人が複数いて、すぐに現金化して分けたい場合
- 荷物が大量に残っていて片付けられない場合
買取の場合、価格は相場より価格は下がることになりますが、仲介手数料がかからず、売却後のトラブル責任(契約不適合責任)を免除されるメリットがあります。
7. おわりに:客観的な視点での判断を
大阪市港区での実家活用は、適切なリフォームを行えば、十分に収益を生む可能性があります。
特に、建て替えができない物件ほど、今ある建物を大切に使って賃貸収入を得る方法は理にかなっています。
重要なのは「感情」と「計算」を分けることです。
「実家だから」とお金をかけすぎたり、逆に「面倒だから」と思考することなく放置して税金が高くなったりするのは避けなければなりません。
まずは専門家に「今の状態で売ったらいくらか」「貸したらいくらか」を数字で出してもらい、5年後、10年後の未来をシミュレーションすることをお勧めします。
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株式会社Go不動産は、大手不動産会社では取り扱いが難しい「長屋の切り離し」「再建築不可物件」「事故物件」など、複雑な事情のある不動産も専門的に取り扱っております。
大阪市港区の物件につきましても、以下のようなお手伝いが可能です。
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私たちは、単に「売ってください」という提案はいたしません。
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「売るべきか、貸すべきか迷っている」
「まずはシミュレーションだけしてほしい」という場合でも構いません。
査定は無料ですので、相続された大切な資産について、ぜひお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ】
TEL: 06-6155-4564 / FAX: 06-6155-4566
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