大阪市浪速区 相続した空き家の実家 長屋の賃貸運用

2025.12.04
コラム

大阪市浪速区 相続した「長屋」の実家
賃貸運用は本当に正解?リスクとリターンを検討

大阪で相続した長屋(連棟住宅)
賃貸に出して家賃収入を得る前に知るべき「構造的リスク」と「収支の現実」

大阪市内、特に浪速区や西成区、生野区といった歴史ある街並みが残るエリアで、ご実家の「長屋(テラスハウス・連棟住宅)」を相続された方から、
「とりあえずリフォームして貸し出せば、家賃収入が入るのではないか」
というご相談をいただくことが増えています。

確かに、愛着あるご実家を手放さずに済み、毎月の副収入が得られる「賃貸運用」は魅力的に映ります。
しかし、「マンション」の場合と異なり、木造の「長屋」における賃貸運用は、特有のハードルとリスクが潜んでいることをご存知でしょうか?

今回は、大阪の長屋を数多く取り扱ってきた株式会社Go不動産が、相続した長屋を賃貸運用する場合のリアルなシミュレーションと、最終的な「出口戦略」について解説します。

「賃貸運用」という選択肢:始める前の「思考シミュレーション」の重要性

相続した実家が「負のキャッシュフロー(固定資産税などの垂れ流し)」になってしまうのを防ぐ選択肢として、主に「売却」「買取り」「賃貸運用」が考えられます。

すぐに「売却」や「買取り」へ踏み切れない方にも、もちろん理由があります。
調査によれば、空き家をそのまま所有し続ける理由として、
「物置として必要」(55.8%)や、
「将来自分や親族が使うかもしれない」(25.1%)といった回答が上位を占めています。

「売却はしたくないが、現状のままでは赤字が続くだけ」——。
このようなジレンマを抱える方にとって、「賃貸運用」は非常に魅力的な選択肢です。
資産(土地・建物)としての所有権は維持したまま、家賃収入によってマイナスをプラスに転換させることができ、さらに人が住むことで建物の劣化(通風不足によるカビなど)を防ぐ効果も期待できます。

しかし、この賃貸運用を「家賃収入」という側面だけでスタートしてしまうと、「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。特に築古の長屋は、予期せぬ出費が発生しやすい不動産です。

最も重要なのは、実際に入居者募集を開始する「前」の準備段階、すなわち「思考シミュレーション」です。
具体的にどれだけの費用がかかり、どれだけの収益が見込めるのかを、以下の5つのステップで冷静に試算する必要があります。

ステップ1:「近隣の賃料相場」の限界を知る

まずは、ご所有の物件周辺で、同じような条件の長屋が「いくらで貸しに出されているか」を調査し、収益のイメージを掴むことが重要です。
大手ポータルサイトなどで、「エリア」「築年数」「広さ」が近いテラスハウスや貸家を検索してみてください。

ここで注意が必要なのは、サイトに掲載されている賃料はあくまで「募集価格(希望価格)」であり、「実際に成約する価格」とは限らないという点です。
また、長く掲載されている物件は、その価格では入居者が決まっていない可能性もあります。
そのため、見つけた相場よりも少し低め(8割程度など)に見積もっておくのが堅実です。

さらに、長屋の場合、いくら内装を綺麗にしても、「木造」「築古」という条件がネックとなり、新築アパートのような家賃設定をするのは難しい現実があります。
周辺の競合物件を見るときは、リフォーム済みの物件がいくらになっているかも確認し、家賃収入の限界値を冷静に見極める必要があります。

【月々の収支シミュレーション(運用中の手取り)】
この段階で、仮に賃料が入ってきた場合の「月々の収支」も試算しておきます。
長屋の場合、マンションのような「管理費・修繕積立金」の徴収はありませんが、その分、オーナー自身で将来の修繕(雨漏りや設備故障)に備えておく必要があります。

【簡易シミュレーション表:大阪市浪速区・長屋(想定家賃6万円)の例】

項目金額(シミュレーション例)備考
A. 想定家賃収入+60,000円相場上限に近い設定と仮定
B. 固定的支出
 固定資産税等(月割)-3,000円土地建物の評価額による
 火災保険料(オーナー用)-2,000円木造・築古のため保険料は高め
 自己修繕積立(必須)-10,000円将来の屋根・外壁・設備故障に備える
C. 変動的支出(満室時)
 管理委託手数料 (Aの5%)-3,000円クレーム対応等を委託する場合
D. 満室時の毎月手取り+42,000円A – (B + C)
E. 年間手取り+504,000円D x 12

※ここから更に「空室期間」や「退去時修繕費」が引かれます。
「家賃6万円」がそのまま手元に残るわけではなく、特に長屋の場合は「自己修繕積立」を甘く見ると、雨漏り一つで数年分の利益が吹き飛びます。

ステップ2:相続と保有の初期費用

次に、賃貸に出す・出さないに関わらず、不動産を「相続して保有する」ために、そして「貸せる状態にする」ために必要な費用を洗い出します。
長屋の場合、ここが最も高額になりがちです。

1. 法的手続きの費用
まず、相続した不動産の名義をご自身に変更する「相続登記」が必要です(令和6年4月1日から義務化)。
司法書士への報酬や実費のほかに、「登録免許税」がかかります。
また、長屋の底地(土地)の権利関係が複雑な場合(借地権や共有私道など)、その調査や手続きに追加費用がかかるケースもあります。

2. 室内のリセット費用(家財処分・クリーニング)
相続したご実家が直面する現実的な問題が、室内に残された家財(遺品)です。
実際、賃貸や売却に踏み切る際の課題として「家財などの処理」は 37.4% と高い割合を占めています。
まずは、これら家財道具一式の処分費用(遺品整理費用)を見積もらなくてはなりません。
もちろん、ご自身やご家族で撤去すれば費用は抑えられますが、その作業に数ヶ月を費やせば、その分家賃収入を得る機会を逃すことになります(後述の「機会損失」)。

3. 修繕・リフォーム費用(最大の変動要因)
長屋の賃貸運用における最大の山場がここです。
ご実家を相続した場合、多くは「そのまま貸せる」状態ではありません。
特に築年数が経ち、改修工事などを行っていない物件の場合、給排水管の更新や、在来工法(タイル張り)のお風呂をユニットバスに入れ替える工事など、根本的な修繕が必要になる可能性もあります。

  • 表層リフォーム(クロス張替え等): 数十万円〜
  • 水回り・設備交換(必須レベル): 200万円〜
  • フルリノベーション: 500万円以上

※上記は内装を中心とした概算です。雨漏り防止のための屋根の葺き替え外壁塗装ベランダ防水などの外装工事も含める場合、さらに数百万円単位で費用が加算されます。
「キッチンにお金をかけすぎて、屋根の修理費用がなくなった」
とならないよう、賃料とのバランスをシビアに見極める必要があります。

ステップ3:賃貸「募集時」にかかる一時費用

無事にリフォームが完了し、「貸せる状態」になってから入居者募集を開始する際にも、一時的な費用が発生します。
特に築古長屋の場合、競合物件より有利にするために「ペット飼育可能(条件の緩和)」や「広告料(AD)」を多めに設定する必要が出てくることもあります。

  • 収入:月額賃料、日割り家賃、礼金
  • 支出(オーナー負担)
    • 仲介手数料
    • 広告料(AD):客付けを促進するために仲介業者へ支払う謝礼(賃料の1〜2ヶ月分など、物件力によって変動)
    • 鍵交換費用(オーナー負担の場合)
  • 入居者が支払うもの:火災保険料(借家人賠償)、保証会社費用

ステップ4:機会損失(ランニングコスト)のリスク

ステップ2〜3の準備(遺品整理、大規模リフォーム、入居者募集)に時間がかかれば、その分だけ「機会損失」が発生します。
特に長屋のリノベーションは、解体してみないと分からない不具合(シロアリ被害や柱の腐食)が見つかりやすく、工期が伸びる傾向にあります。

例えば、準備期間が半年かかれば、半年分の家賃収入を得る機会を失うだけでなく、半年分の固定資産税や基本料金などの保有コストも支払い続けることになります。
「自分たちで片付ければタダだから」と1年かけて遺品整理をするよりも、業者に頼んで1ヶ月で終わらせ、早く貸し出した方がトータルでは得になるケースもあります。
この時間的コストのバランス感覚が非常に重要です。

ステップ5:運用「中」と「出口」のシミュレーション

最後に、賃貸運用が始まった「後」と、将来の「出口」についてのシミュレーションです。

1. 賃貸管理(トラブル対応)
長屋特有のリスクとして、「生活音トラブル」などがあります。
壁一枚で隣と接しているため、入居者同士、あるいは隣地所有者とのトラブルが発生しやすく、自主管理(大家さん自身での対応)は精神的な負担が大きいのが現実です。
管理会社に委託する場合、毎月の管理手数料(家賃の5%程度)が必要経費となります。

2. 入居期間と空室期間
家賃帯を安く設定せざるを得ない長屋の場合、入居者属性によっては短期退去や、逆に長期入居による設備の老朽化が進むケースもあります。
また、退去後のリフォーム費用も、築古物件ほど高額になりがちです。

3. 中・長期シミュレーションと「売却」というゴールライン
上記を踏まえ、「10年間」運用した場合の総収益を試算してみましょう。
リフォームに500万円かけた場合、先ほどの簡易シミュレーション(年間手取り約50万円)で計算すると、回収だけで10年かかります。
その10年の間に、雨漏りや給湯器の故障が一度も起きない保証はありません。

そして最も重要なのが、いつか訪れるであろう「売却」というゴールラインです。
長屋は「切り離し」の問題(隣家の同意がないと解体できない)や、「再建築不可(建て替えできない)」の法的制限があることが多く、いざ売ろうとしても一般市場では買い手がつかないケースが多々あります。
「賃貸で元を取ってから売ろう」と考えていても、10年後には建物がさらに老朽化し、いよいよ売るに売れない「負動産」になってしまうリスクも想定しておく必要があります。

大阪の長屋相続、「売却・買取」という選択

上記5つのステップ(①賃料相場と上限、②高額な初期費用、③募集費用、④機会損失、⑤管理リスクと出口の難しさ)をシミュレーションした結果、
「初期投資の回収に時間がかかりすぎる」
「リスクに対してリターンが見合わない」
と判断されるオーナー様は非常に多いです。

その場合、大阪市浪速区や西成区などで「売却」を選択し、リスクを断ち切って現金化することも、相続した資産を守るための賢明な判断です。
特に、築古の長屋や再建築不可物件、ゴミ屋敷状態のご実家は、一般的な仲介売却では買い手がつきにくいため、専門業者による「買取」が推奨されます。

【買取のメリット】

  • 契約不適合責任が免責: 売却後に雨漏りやシロアリが見つかっても、売主様が責任を負う必要はありません。
  • 現状有姿でOK: リフォームや家財処分は不要です。そのままの状態でお引き渡しいただけます。
  • 即現金化: いつ売れるか分からない不安から解放され、相続税の納税資金や遺産分割の原資として早期に確定できます。

株式会社Go不動産では、仲介や買取りはもちろん、このような賃貸運用の収支シミュレーションのお手伝いも一貫して承っております。
相続した大切な実家(長屋)を、「空室」のまま放置して資産価値を下げてしまう前に。
「賃貸」か「売却」か。
オーナー様のライフプランに最適な選択肢はどちらなのか、大阪の長屋・空き家の専門家と一緒に考えてみませんか?

もちろん、シミュレーションの結果、「すぐに現金化したい」「管理の手間から解放されたい」となった場合、弊社は「買取り」も強化しております。
他社で断られたような再建築不可の長屋や、荷物が溢れかえった状態の空き家でも、問題なく対応可能です。

【買取強化エリア】

大阪市内全域
浪速区、天王寺区、東成区、生野区、阿倍野区、西成区、住之江区、住吉区、東住吉区、西区、中央区、港区、大正区、平野区

【このような「お困り不動産」の買取を強化しています!】

  • 心理的瑕疵物件: 自殺、殺人、孤独死、事件、事故などが起きた物件
  • 物理的な問題を抱える物件: ゴミ屋敷、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きがある物件
  • 法的な問題を抱える物件: 再建築不可物件、セットバックが必要な物件
  • 権利関係が複雑な物件: 相続登記未了、共有名義の物件
  • 特殊な不動産: 借地権・底地権、増築未登記の物件、長屋・連棟式住宅、文化住宅、狭小住宅
  • 区域の問題: 市街化調整区域内の物件
  • その他: 任意売却、成年後見人制度を利用した売却など

【空き家買取対応エリア】

  • 大阪府: 大阪市24区(北区、都島区、福島区、此花区、中央区、西区、港区、大正区、天王寺区、浪速区、西淀川区、淀川区、東淀川区、東成区、生野区、旭区、城東区、鶴見区、阿倍野区、住之江区、住吉区、東住吉区、平野区、西成区)、堺市7区、吹田市、高槻市、島本町、箕面市、池田市、豊中市、茨木市、摂津市、守口市、寝屋川市、門真市、枚方市、交野市、四條畷市、大東市、東大阪市、八尾市、松原市、忠岡町、高石市、和泉市、泉大津市、羽曳野市、柏原市、藤井寺市、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、富田林市、大阪狭山市、河内長野市、岬町など
  • 兵庫県(一部地域を除く): 神戸市内全域、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、明石市など
  • 奈良県(一部地域を除く): 生駒市、奈良市、香芝市、大和郡山市、大和高田市、天理市、橿原市、平群町、斑鳩町など
  • 滋賀県(一部地域を除く): 大津市、草津市、守山市、栗東市、野洲市、近江八幡市など
  • 京都府(一部地域を除く): 京都市内全域、八幡市、長岡京市、大山崎町、京田辺市、精華町、久御山町、向日市、城陽市、宇治市など
  • 和歌山県(一部地域を除く): 和歌山市、海南市など その他近畿エリアもご相談ください。

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