大阪市西区 相続した実家マンションの一室:賃貸運用を始めるためには

2025.12.02
コラム

大阪市で相続したマンション
賃貸運用する前に考えるべき「費用シミュレーション」とは?

※画像はイメージ写真です

大阪府内、特に大阪市西区や中央区などでご実家の不動産を相続された方から、
「空き家(空室)になったマンションをどうすべきか」
というご相談をいただく機会が、近年急速に増えています。

国土交通省の調査によれば、空き家を取得した経緯として「相続」を挙げた割合は 54.6% にも上り、別の調査でも 57.9% と、いずれも半数以上を占める最大の理由となっています。
ご実家が空き家となる背景には、多くの場合「相続」が関わっており、これは決して珍しいことではありません。

特に大阪府は、全国でも突出した「マンション大都市」であり、そのストック数(分譲マンションの戸数)は約 72.5 万戸と全国第2位の規模を誇ります。
大阪市内で「実家を相続する」ということは、多くの場合「マンションの一室を相続する」ことを意味するのかもしれません。

戸建ての空き家と異なり、マンションの空室がオーナー様にとって心理的・経済的に大きな負担となるのは、誰も住んでいない状態でも「管理費」および「修繕積立金」が毎月発生し続ける点です。
さらに、空き家所有者の約3割(28.2%)は、物件から1時間以上かかる遠隔地にお住まいというデータもあります。
ご自身が住むわけでもなく、管理も難しい状況で、固定資産税と合わせて費用だけが毎月引き落とされていく事態は、早急に解決すべき課題と言えるでしょう。

「賃貸運用」という選択肢:始める前の「思考シミュレーション」の重要性

この「負のキャッシュフロー」を解決する選択肢として、主に「売却」「買取り」「賃貸運用」が考えられます。

すぐに「売却」や「買取り」へ踏み切れない方にも、もちろん理由があります。
調査によれば、空き家をそのまま所有し続ける理由として、
「物置として必要」(55.8%)や、
「将来自分や親族が使うかもしれない」(25.1%)といった回答が上位を占めています。

「売却はしたくないが、現状のままでは赤字が続くだけ」——。
このようなジレンマを抱える方にとって、「賃貸運用」は非常に魅力的な選択肢です。
資産(マンション)としての所有権は維持したまま、家賃収入によってマイナスをプラスに転換させることができ、さらに人が住むことで建物の劣化を防ぐ効果も期待できます。

しかし、この賃貸運用を「家賃収入」という側面だけでスタートしてしまうと、「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。

最も重要なのは、実際に入居者募集を開始する「前」の準備段階、すなわち「思考シミュレーション」です。
具体的にどれだけの費用がかかり、どれだけの収益が見込めるのかを、6つのステップで冷静に試算する必要があります。

思考シミュレーション・ステップ1:まず「近隣の賃料相場」を知る

何よりも先に、ご所有のマンションがいくらで貸せるのか、おおよその賃料相場を把握し、収支のイメージを掴むことが重要です。
ここで「賃貸運用」と「売却」のどちらがご自身の状況に適しているか、大まかな方向性を見当付けます。

近隣の相場を調査するには、大手ポータルサイトなどを活用して、ご自身の物件と近い条件、
「築年数」「駅までの距離」「広さ(間取り)」
の物件が、いくらの賃料で募集されているか情報収集するのが良いでしょう。

ただし、一点気を付けなければならないことがあります。
それは、そこに掲載されている物件は「まだ入居者が付いていない」ということです。

例えば、1ヶ月前から同じ物件が掲載され続けている一方で、他の似た条件の物件は次々と掲載が終了(=入居者が決定)している場合。
その売れ残っている物件は「近隣の相場より高い」か「設備や内装が古い」など、何らかの理由で選ばれていない可能性が推測できます。

ポータルサイトの情報はあくまで「募集価格」であるため、おおよその近隣相場を調査するときは、調査した賃料の「8割」程度で堅実に見積もっておくのが良いかもしれません。

【月々の収支シミュレーション(運用中の手取り)】

この段階で、仮に賃料が入ってきた場合の「月々の収支」も試算しておきます。
これは賃貸運用中、毎月継続的に発生する項目です。
リフォーム費用や募集時の仲介手数料といった「一時的な支出」とは別である点にご注意ください(これらは後述します)。

家賃収入(総額)から以下の支出を差し引いたものが、オーナー様の「実際の手取り」収入となります。

【簡易シミュレーション表:大阪市西区・2LDK(想定家賃12万円)の例】

項目金額(シミュレーション例)備考
A. 想定家賃収入+120,000円(大阪市西区の相場を想定)
B. 固定的支出(空室でも発生)
 管理費-15,000円(マンション規約による)
 修繕積立金-10,000円(マンション規約による)
 固定資産税等(月割)-10,000円(物件評価額による)
 自治会費-500円(マンション規約による)
 火災保険料(オーナー用)-1,000円(年額12,000円と仮定)
C. 変動的支出(満室時)
 管理委託手数料 (Aの5%)-6,000円(不動産会社に管理委託する場合)
D. 満室時の毎月手取り(A-B-C)+77,500円
E. 年間手取り(D x 12)+930,000円

※ここから更に「空室期間」や「退去時修繕費」が引かれます

この表が示すように、「家賃12万円」がそのまま収入になるわけではなく、そこから各種経費を差し引いた金額が手元に残る利益となります。
この現実的な数字を把握することがシミュレーションの第一歩です。

思考シミュレーション・ステップ2:相続と保有の初期費用

次に、賃貸に出す・出さないに関わらず、不動産を「相続して保有する」ために必要な費用を洗い出します。

1. 法的手続きの費用

まず、相続した不動産の名義をご自身に変更する「相続登記」が必要です。
これは賃貸・売却を問わず必須の手続きであり、令和6年4月1日からは義務化もされています。

この手続きには、司法書士への報酬や実費のほかに、大きく分けて「登録免許税」と「不動産取得税」という税金が関わってきます。

「登録免許税」は、登記(名義変更)の際に法務局へ納める税金です。

「不動産取得税」は、不動産を取得した際にかかる税金ですが、原則として「相続」による取得では課税されません。
ただし、法定相続人以外への「特定遺贈」や「死因贈与」といった形で不動産を受け継いだ場合は課税対象となるため注意が必要です。

これらの税金は、市町村が管理する「固定資産税評価額(課税標準額)」を基に計算されます。
司法書士への報酬なども含め、これらの法的手続き費用を初期費用として見込んでおく必要があります。

2. 室内のリセット費用(家財処分・クリーニング)

相続したご実家が直面する現実的な問題が、室内に残された家財(遺品)です。
実際、賃貸や売却に踏み切る際の課題として「家財などの処理」は 37.4% と高い割合を占めています。

まずは、これら家財道具一式の処分費用(遺品整理費用)を見積もらなくてはなりません。

もちろん、ご自身やご家族などで撤去する場合には費用は掛かりませんが、その作業に1ヶ月を費やしたのであれば、後述する「機会損失」の考え方に当てはまるため注意が必要です。
賃貸募集において「時期」は非常に大切で、賃貸仲介業界の繁忙期は一般的に1月中旬~4月中旬までと言われます。
具体的には12月頃から退去の連絡が増え始め、2月~3月で実際のお部屋探しと入居のピークを迎え、4月は残務処理のような流れになります。
実質的には、賃貸運用を考えるオーナー様は、この2月~3月のピークに照準を合わせることになります。
その最適な時期に募集を開始できるかどうかが、賃貸運用成功の重要なポイントであることを念頭に置くようにしたいものです。

物件がすでに綺麗な状態でリフォームが特に必要ない場合は、この時点で専門的な「ハウスクリーニング」の費用を試算します。
しかし、リフォームが必要な場合は、次のステップ(リフォーム)がすべて完了した最終段階でハウスクニングを実施することになります。

3. 修繕・リフォーム費用(最大の変動要因)

ご実家を相続した場合、多くは「そのまま貸せる」状態ではありません。
賃貸・売却における最大の課題は「住宅の傷み」(43.3%)です。

シミュレーションで最も重要なのが、この「傷み」の確認です。
入居者が最低限求める「設備の機能」が担保されているか、また、近隣の競合物件と比べて水回り等の設備が古くないかなど確認が必要です。

リフォーム費用の内訳で割合が高いのは「水回り設備」です。
ただ水回りの設備が古かったり、機能がよくなかったりすると、入居希望者が減る事態にもなりえます。

例えば…
「天板に人造大理石を使った食洗器付きのシステムキッチン」と、
「ステンレス天板のガスコンロを置く昔のタイプのキッチン」とでは、
見栄えも機能性も大きく異なり、設定できる賃料にも差が出ることがあります。

他にも「浴室乾燥機の有無」「カウンターキッチン」「アイランドキッチン」などおしゃれな仕様になっているなど例に挙げ始めるとキリがありませんが、仮に設備に100万円を追加費用でかけたとしても、月の賃料が10万円上がることは一般的に考えにくいのです。
そのため賃料と設備のバランスを考えてシミュレートする必要があります。

入居者からのクレームに発展しないように、古くなった設備などの交換費用も「初期費用」として計上するかの判断が求められます。

思考シミュレーション・ステップ3:賃貸「募集時」にかかる一時費用

無事にリフォームが完了し、「貸せる状態」になってから入居者募集を開始する際にも、一時的な費用が発生します。
「収入」として入るもの、「支出」として出るもの、そして「入居者が支払うもの」を明確に分けます。

  • 収入
    月額賃料
    日割り家賃
    礼金 (敷金は最近の物件では取らないことも多く、預り金のため退去時に返金が必要)
  • 支出(オーナー負担)
    仲介手数料(賃料の0.5〜1ヶ月分+消費税が相場ですが、オーナー様が負担しないケースもあります。事前に賃貸募集を依頼する仲介業者と相談が必要です)
    広告料(仲介手数料とは別途、早く客付けしたい場合などに賃貸仲介業者へ支払うもの)
    鍵交換費用(入居者入替時の防犯対策)
  • 入居者が支払うもの(オーナー収入ではない)
    火災保険料(入居者用の借家人賠償保険付きのもの)
    家賃保証会社の初回保証料

思考シミュレーション・ステップ4:機会損失(ランニングコスト)のリスク

ステップ2〜3の準備(遺品整理、リフォーム、入居者募集)に時間がかかれば、その分だけ「機会損失」が発生します。

物件を取得してから賃借人が入居するまでの期間のランニングコスト(ステップ1で試算した管理費や固定資産税など)も意識しなくてはなりません。

例えば、入居開始が2ヶ月遅くなると、2ヶ月分の家賃収入(この例では24万円)を得る機会を失うだけでなく、2ヶ月分の保有コスト(この例では約3.6万円/月)も余計に支払うことになります。

この「失われた2ヶ月分の家賃」があれば、リフォーム費用に充てて内装のクオリティを上げられたかもしれませんし、広告料として仲介会社に支払えばもっと早く入居が決まったかもしれません。

「~たら、~れば」の話にはなりますが、どの程度の期間で準備を完了させるか、このバランス感覚が非常に重要です。

思考シミュレーション・ステップ5:運用「中」と「出口」のシミュレーション

最後に、賃貸運用が始まった「後」の長期的なシミュレーションを行います。

1. 賃貸管理

不動産会社に管理を委託すれば、ステップ1の表にある「管理委託手数料」が発生しますが、入居者対応(設備の故障、クレーム)や、退去時の手続き・退去立会などを任せることができます。
遠隔地にお住まいの方や、手間をかけたくない方には必須の費用と言えます。

2. 入居期間と空室期間

入居者が一度入れば永遠に家賃が入るわけではありません。
物件の条件や立地にもよりますが、例えばファミリー層であれば「3年程度」で入居者が入れ替わると仮定します。

退去後、次の入居者が決まるまでの「空室期間」(リフォームやクリーニング期間を含む)も設定する必要があります。

3. 中・長期シミュレーションとゴールライン

上記を踏まえ、「5年間」賃貸運用した場合の総収益と、「10年間」運用した場合の総収益を試算します。
(例:5年間で退去1回、空室期間3ヶ月を想定)

そして最も重要なのが、いつか訪れる「売却」というゴールラインです。
近隣の売却価格の相場を調査し、「5年後に売却する」「10年後に売却する」場合の価格も想定しておくことで、賃貸運用を続けるべきか、売却すべきかの判断基準となります。

大阪市西区・中央区での賃貸運用、そして「売却」という選択肢

上記6つのステップ(①賃料相場、②相続初期費用、③リフォーム費用、④募集費用、⑤機会損失、⑥中・長期運用)のシミュレーションを実行することが、賃貸運用成功への第一歩です。

そして、このシミュレーションの真の価値は、「賃貸運用をしない」という合理的な判断を下せる点にもあります。

例えば、シミュレーションの結果、初期費用(リフォーム代など)が想定以上に大きく、回収に何年もかかる場合。あるいは、毎月の手取り(実際の手取り)が、管理の手間や空室リスクに見合わないと判断される場合もあるでしょう。

その場合、大阪市西区や中央区など、現在の堅調なマンション市場で「売却」を選択し、まとまった現金資産に換えることも、相続した資産を守るための賢明な判断です。

株式会社Go不動産では、このような賃貸運用の収支シミュレーションのお手伝いはもちろん、リフォームのご相談、そして実際の賃貸管理サポートまで、一貫して承っております。

相続した大切な実家(マンション)を、「空室」のまま放置して資産価値を下げてしまう前に。
「賃貸」か「売却」か。オーナー様のライフプランに最適な選択肢はどちらなのか、大阪の不動産市場に精通した専門家と一緒に考えてみませんか?

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