昭和の買戻特約が登記されたままの不動産

2025.08.04
コラム

昭和の「買戻特約」が残る不動産、法改正後の売却と抹消手続き

※画像はイメージ写真です

不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得した際、「権利部(甲区)」に見慣れない「買戻特約」という登記が残っていることがあります。
特に昭和の時代に、住宅供給公社などが分譲した土地・建物に多く見られるこの登記は、法律上の効力が失われた後も放置されていることが多く、現代の不動産売買において思わぬ障害となることがあります。

本稿では、まずこの「買戻特約」を抹消するための法律改正の趣旨や要件を解説します。

■法改正で何が変わった?放置された「買戻特約」抹消の基礎知識

1.法改正の趣旨:なぜ抹消が簡単になったのか?

従来、買戻特約の登記を抹消するには、不動産の所有者(登記権利者)と、買戻権を持つ公社など(登記義務者)が共同で申請する必要がありました。
しかし、買戻期間(民法上、最長10年)が経過し、買戻権が法律上消滅しているにもかかわらず、登記だけが「塩漬け」の状態で残っているケースが全国で多数発生。
これが不動産取引の円滑化を阻害する一因となっていました。
売却しようにも買主の住宅ローン審査が通らず、かといって抹消しようにも買戻権者である公社の担当部署を探し、書類を取り寄せるなど、所有者にとって大きな負担となっていました。

このような状況を改善するため、2023年(令和5年)4月1日に不動産登記法が改正されました。
この改正の大きな趣旨は、効力を失った古い登記を簡単な手続きで抹消できるようにし、不動産取引の安全性と円滑性を高めることにあります。

2.単独申請の要件:どんな場合に使える?

法改正により、以下の要件を満たす場合には、不動産の所有者が単独で買戻特約の抹消登記を申請できるようになりました(不動産登記法第69条の2)。

  • 売買契約の日から10年を経過していること

民法上、買戻しの期間は10年を超えることができず、この期間を過ぎれば買戻権は消滅します。
登記簿に記載されている売買契約の日(原因日付)から10年が経過していれば、この要件を満たします。
昭和の時代に設定された買戻特約であれば、ほぼ全てのケースでこの要件に該当します。

3.申請構造の変化:共同申請から単独申請へ

この法改正により、申請の構造は劇的に変わりました。

  • 【改正前】原則:共同申請
    • 所有者と買戻権者(公社など)が共同で申請。
    • 買戻権者から委任状や印鑑証明書などの書類を提供してもらう必要があった。
      特に大阪府の場合、買戻権者が「大阪府」なのか「大阪府住宅供給公社」なのかで担当窓口が異なり、所有者を混乱させる一因ともなっていました。
  • 【改正後】例外:単独申請が可能に
    • 所有者一人で法務局に申請可能。
    • 買戻権者への連絡や書類の依頼が一切不要となり、手続きが大幅に迅速化・簡素化されたのです。

この改正は、所有者にとって大きな福音となりました。
しかし、それでもなお、相続が絡んでいたり、手続き自体に不安を感じたりする方にとっては、依然として高いハードルであることに変わりはありません。
このような悩みを抱えたお客様から、弊社Go不動産が不動産を買い取らせていただいた実例をご紹介します。


「売れない家」と諦めていた…大阪府茨木市の“買戻特約付き”不動産を即時解決へ

もう悩まない!不動産業者が解決する「お困り不動産」買取の現場から

【お客様からのご相談】「誰も住まなくなった家、どうすれば…」

「もう、どうしたらいいのか分からなくて…」

ご相談の主は、兵庫県にお住まいの60代のA様。
15年前に亡くなられたお父様名義のままになっている、一戸建てについてのご相談でした。

お話を伺うと、状況は以下のようでした。

  • 物件の状況: 昭和40年代に「大阪府住宅供給公社」が分譲した土地に建つ家。
    長年空き家で、毎年の庭の雑草処理は大変、建物も老朽化が進んできている。
  • 権利関係: お父様名義のままで、相続登記が未了。
    相続人はA様を含め、ご兄弟3人。
  • 売却の試み: 一度、ご自身で地元の不動産会社に売却を相談したが、「相続登記が未了なこと」と、さらに「登記簿に古い買戻特約が残っているので、このままでは売却できません」と指摘され、途方に暮れてしまったとのこと。

「相続の手続きもしないといけないし、買戻しの抹消?とかいうのも自分でやらないといけない。」
「兄弟はみんな遠方で協力も得にくい。もう、このまま放置して朽ち果てるのを待つしかないのかと…」

A様のこのお悩みこそ、私たちが日々向き合っている「お困り不動産」の典型的なケースでした。

「全てお任せください。現状のまま、弊社が買い取ります」

お電話をいただいた翌日、私は早速、現地へ査定に伺いました。
建物は確かに年季が入っていましたが、定期的なメンテナンスをされており、丁寧に手入れをすればまだまだ活かせる物件です。
問題は、権利関係の複雑さ。

私はA様にご用意いただいた登記簿のコピーを拝見し、状況を整理してご説明しました。

「A様、お悩みの点は大きく3つですね。」
「①相続登記が未了であること
 ②建物の老朽化が進んでいること
 ③『買戻特約』の登記が残っていること。」
「一つ一つは解決できる問題ですが、これをご自身で、しかもご兄弟の協力を得ながら進めるのは、大変なご負担だと思います」

そして、弊社からのご提案を差し上げました。

「ご提案ですが、この不動産を、現状のまま、弊社Go不動産が直接買い取らせていただけないでしょうか。

A様は驚かれた表情でした。

「え、このままの状態で?相続登記も、買戻しの抹消もしていないのに?」

「はい。買取代金のお支払いと同時に、所有権移転登記を行いますが、その際に必要な『相続登記』と『買戻特約の抹消登記』は、すべて弊社が提携している司法書士に依頼し、責任を持って行います。A様にしていただくのは、弊社との売買契約に必要な書類にご署名・ご捺印いただくだけです」

つまり、A様やご兄弟が、法務局や役所に足を運んだり、複雑な書類を作成したりする必要は一切ありません。
時間と手間のかかる書類集めや全ての法的手続きを弊社及び提携司法書士が引き受け、A様とご兄弟には相続関係書類への記名・捺印及び必要書類の郵送などを行なっていただく必要はありますが、最も手間なく、スピーディーに不動産を現金化していただくことが可能と判断しました。
これが、弊社の「買取」というサービスの本質です。

【解決へのプロセス】ワンストップで進む法的手続き

A様とご兄弟にご納得いただき、弊社との間で売買契約を締結をし、すぐさま手続き準備へと移行しました。

  1. 司法書士との連携: すぐに弊社提携の司法書士に連絡。
    相続関係の戸籍謄本等の収集を依頼すると同時に、買戻特約の抹消登記の準備を進めてもらいます。
  2. 相続登記の準備: 司法書士がA様ご兄弟と連絡を取り、遺産分割協議書の作成をサポート。
    相続人全員からの実印と印鑑証明書をスムーズに取得します。
  3. 買戻特約抹消登記の準備: 司法書士が登記申請書を作成。
    2023年の法改正により、所有者(今回の場合は相続登記後のA様ご兄弟)の委任状さえあれば、法務局に単独で抹消申請が可能です。
  4. 決済・登記申請: 契約から約3週間後、決済日を迎えました。
    弊社からA様ご兄弟の口座へ買取代金全額を送金。
    その着金確認をもって、司法書士が法務局へ
    「①相続登記」
    「②買戻特約抹消登記」
    「③弊社への所有権移転登記」
    上記の3つの登記を同時に(連件で)申請します。

この一連の流れにより、煩雑な手続きは一日で完了。
A様は、あの日お電話をいただいてから約1ヶ月後には、長年の悩みだった空き家問題から完全に解放されたのです。

後日、A様からお礼のお電話をいただきました。

「本当に助かりました。あのままだったら、あと10年は放置していたかもしれません。専門家にお任せするだけで、こんなに早く、簡単に解決できるとは思いませんでした。肩の荷が下りました」

この言葉こそ、私たちの仕事のやりがいです。
弊社が買い取らせていただいた後、このお家はリフォームを施し、新たなご家族が住む家として生まれ変わりました。

その「お困り不動産」、Go不動産が解決します

今回の事例のように、相続が絡んでいたり、古い権利の登記が残っていたりする不動産は、個人で売却しようとすると多くの壁にぶつかります。
時間と労力をかけた挙句、解決できずに諦めてしまうケースも少なくありません。

株式会社Go不動産では、今回のような特約(設定や移転含む)登記からかなり時間が経過している「買戻特約」や、古い「担保権(抵当権、根抵当権、譲渡担保など)」が抹消されていない不動産の買取りや売却相談を積極的に受け付けております。
専門的な知識が必要なケースでも、弊社提携の司法書士と連携し、お客様の手を一切煩わせることなく、ワンストップでスムーズな解決と売却をサポートいたします。

【不動産の種別】

  • 中古戸建(特に長屋・連棟式住宅、文化住宅、狭小住宅)
  • 中古マンション
  • 土地(古家付き土地、空き地、借地権)
  • 収益物件(文化住宅、店舗付き住宅、賃貸中の物件)

【物件が抱える特徴・問題(「お困り不動産」)】
弊社は、下記のような様々な問題を抱える不動産を専門的に取り扱っております。

  • 物理的な問題を抱える物件: 再建築不可、著しい老朽化・損傷(雨漏り、傾き、火災・水害による損傷など)、ゴミ屋敷、風呂なし物件など
  • 権利関係が複雑な物件: 相続登記未了、共有名義、借地権付き建物など
  • 心理的瑕疵物件: 自殺、孤独死などがあった物件
  • 法的手続き中の物件: 任意売却、成年後見人制度を利用した売却など
  • その他の特殊な事情を抱える物件: 長期放置の空き家、増築未登記、市街化調整区域、隣地トラブルなど

どのような状態の不動産でも、「売れない」と諦める前に、まずは一度ご相談ください。

不動産買取りのGo不動産 出張査定・ご相談は「無料」です!

【お問い合わせ】株式会社Go不動産

  • TEL: 06-6155-4564
  • MAIL: info@go-fudosan.com
  • LINE: @gofudosan

【主な対応エリア】

  • 大阪府下全域
    • 大阪市24区: 北区、都島区、中央区、西区、浪速区、天王寺区、淀川区、平野区、住吉区など全域
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【買取り強化エリア】 茨木市、吹田市、豊中市、箕面市、池田市、高槻市、島本町、摂津市、守口市、寝屋川市、門真市、枚方市、交野市